「レンタルスペースを開業して、本当に利益を出せるのだろうか」
これから開業を検討している方にとって、最も気になるのは収益性ではないでしょうか。
インターネット上には「副業でも簡単に儲かる」という情報がある一方で、「思ったより予約が入らず赤字になった」という体験談もあります。
しかし、成功したスペースと失敗したスペースでは、家賃も立地も料金も異なります。条件の違う事例をいくら見比べても、自分が開業した場合に利益を出せるかどうかは判断できません。
結論からいうと、レンタルスペースは、平均単価と予約時間から得られる売上が、家賃・手数料などの運営コストを上回れば黒字化できます。ただし、同じ売上でもポータルサイト経由の予約が多いほど手数料が増えるため、必要な予約時間も長くなります。
この記事で紹介する家賃15万円のレンタルスタジオの場合、平均単価2,200円、月間の基本的な運営コスト17万円という条件では、黒字化に必要な予約時間は次のようになりました。
| 予約経路 | 黒字化に必要な予約時間 | 24時間営業基準の稼働率 |
|---|---|---|
| すべて自社予約 | 約77時間/月 | 約10.7% |
| ポータル経由50% | 約94時間/月 | 約13.0% |
| すべてポータル経由 | 約119時間/月 | 約16.5% |
つまり、「レンタルスペースは儲かるか」という問いに一律の答えはありません。重要なのは、他店の成功例ではなく、自分の家賃・平均単価・手数料率で、月に何時間の予約が必要になるかを計算し、その予約を現実的に獲得できるか確かめることです。
この記事では、レンタルスペースの収益モデルと損益分岐点の計算方法を解説します。後半では、筆者が実際に運営するレンタルスタジオの数字を使い、「机上の計算どおりに利益が残ったのか」まで公開します。
レンタルスペースの利益を決める4つの数字
レンタルスペースの収益性は、主に次の4つの数字で決まります。
- 1時間あたりの平均単価
- 月間の予約時間
- 家賃などの固定費
- ポータルサイト手数料などの変動費
基本的な計算式は次のとおりです。
売上 = 平均単価 × 予約時間
利益 = 売上 − 固定費 − 変動費
たとえば、平均単価が2,000円で月100時間の予約が入れば、売上は20万円です。しかし、そこから家賃、水道光熱費、予約ポータルサイトの手数料、清掃費などを差し引くため、20万円すべてが利益になるわけではありません。
レンタルスペースの利益を増やす方法は、大きく次の3つです。
- 平均単価を上げる
- 予約時間を増やす
- 固定費・変動費を抑える
ここから、それぞれの数字が利益にどう影響するのかを解説します。
平均単価を上げる
平均単価とは、売上を予約時間で割った、1時間あたりの平均売上です。
平均単価 = 売上 ÷ 予約時間
平日・土日・深夜などで料金が異なる場合は、通常料金だけを見るのではなく、実際の売上と予約時間から平均単価を求めます。
たとえば、月150時間利用されるスペースでは、平均単価によって売上が次のように変わります。
| 平均単価 | 月間予約時間 | 月間売上 |
|---|---|---|
| 2,000円 | 150時間 | 300,000円 |
| 2,500円 | 150時間 | 375,000円 |
平均単価500円の差でも、月間では75,000円、年間では900,000円の差になります。
ただし、値上げによって予約時間が大きく減れば、売上が下がる可能性があります。単価を上げるには、単純に料金を変更するだけでなく、利用者が多少高くても選びたくなる理由が必要です。
価格差につながりやすい要素には、次のようなものがあります。
- 駅から近く、アクセスしやすい
- 同じエリアの競合より広い
- 清潔で、掲載写真と実際の状態に差がない
- 鏡・音響・Wi-Fiなど、用途に合った設備が整っている
- 予約から入室まで迷わず利用できる
- 問い合わせやトラブルへの対応が早い
- 定期利用や長時間利用に適した料金プランがある
特に他社にはない付加価値を提供することが重要です。多少高くても選ばれる価値を意識することで、価格競争に巻き込まれにくくなり、一時的に予約が減る月があっても安定して利益を出しやすくできます。
予約時間と稼働率を上げる
稼働率とは、営業可能な時間のうち、実際に予約が入っている時間の割合です。
稼働率 = 予約時間 ÷ 最大稼働時間 × 100
たとえば、営業時間が9時から24時までの1日15時間で、月30日営業する場合、月間最大稼働時間は450時間です。
月90時間の予約が入れば、稼働率は20%になります。
90時間 ÷ 450時間 × 100 = 20%
予約時間が月150時間まで増えれば、稼働率は約33%です。平均単価が2,000円の場合、月90時間の売上は18万円、月150時間なら30万円になります。1日平均では2時間の違いですが、月間売上には12万円の差が生まれます。
稼働率だけで他店と比較できない理由
稼働率は、営業時間の設定によって大きく変わります。
24時間営業のスペースは、月間最大稼働時間が720時間です。深夜や早朝にほとんど需要がなくても、その時間を分母に含めるため、稼働率は低く表示されます。一方、需要のある時間帯だけ営業すれば、同じ予約時間でも稼働率は高くなります。
そのため、スペースの収益性を比較する際は、稼働率だけでなく次の数字も確認する必要があります。
- 月間の予約時間
- 1日あたりの平均予約時間
- 曜日・時間帯別の稼働状況
- 1時間あたりの平均単価
- 予約1件あたりの平均利用時間
- 予約経路ごとの手数料
自店の推移を分析する場合も、営業時間などの計算条件を固定し、同じ基準で比較することが重要です。
固定費と変動費を抑える
レンタルスペースの経費は、固定費と変動費に分けて考えます。
固定費とは
固定費とは、予約件数や売上にかかわらず、毎月ほぼ一定額が発生する費用です。
代表的な固定費には次のものがあります。
- 家賃・共益費
- インターネット回線費
- 保険料
- 予約システムの月額料金
- 防犯カメラなどの月額利用料
- 定額契約の清掃費・運営代行費
特に影響が大きいのは家賃です。
家賃は開業後に簡単には下げられないため、物件を契約する段階で、見込める売上とのバランスを慎重に判断する必要があります。需要が高いエリアでも家賃が高すぎれば利益は残らず、家賃が安くても需要がなければ予約は入りません。
物件選びでは、安さだけでなく、その家賃を支払っても黒字化できるだけの需要があるかを確認することが重要です。
変動費とは
変動費とは、売上や予約件数の増減に応じて変わる費用です。
代表的な変動費には次のものがあります。
- ポータルサイトの販売手数料
- クレジットカードなどの決済手数料
- 予約ごとに発生する清掃費
- 利用量に応じて増える消耗品費・アメニティ費
- 売上に連動する運営代行費
レンタルスペース経営に特に大きな影響を与えるのが、ポータルサイトの販売手数料です。
ポータルサイトは、開業直後でも利用者に見つけてもらいやすい有効な集客手段です。一方で、予約が増えるほど手数料も増えるため、サイト上の売上と実際に残る金額には差が生まれます。
たとえば、販売手数料が35%の場合、ポータルサイト上で20万円を売り上げても、手数料を差し引いた後に残るのは13万円です。
200,000円 ×(1 − 0.35)= 130,000円
同じ20万円を手数料0%の自社予約で売り上げた場合と比べると、残る金額には7万円の差があります。実際の自社予約では決済手数料や予約システム利用料がかかることが多いため、それらも含めて比較する必要があります。
レンタルスペースの損益分岐点を計算する方法
損益分岐点とは、売上と費用が等しくなり、利益がちょうど0円になる売上額です。
売上に対する変動費の割合を「変動費率」とすると、損益分岐点売上は次の式で求められます。
損益分岐点売上 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
たとえば、固定費が17万円、すべての売上に35%の手数料がかかる場合は、次のようになります。
170,000円 ÷(1 − 0.35)= 約261,538円
この条件では、月約26万2,000円を売り上げると、手数料を差し引いた後に約17万円が残り、固定費を回収できます。
自社予約とポータル予約が混在する場合
すべての予約に同じ手数料率がかかるとは限りません。自社予約とポータルサイト予約が混在する場合は、予約経路ごとの手数料率を反映します。
計算を簡略化する場合は、次の式で売上全体に対する実質手数料率を求められます。
実質手数料率 = ポータルサイト手数料率 × ポータル経由の売上割合
たとえば、ポータルサイト手数料が35%で、売上の30%がポータル経由なら、実質手数料率は10.5%です。
35% × 30% = 10.5%
実例:家賃15万円のレンタルスタジオ
ここまでの計算方法が分かっても、「実際の運営でも本当にその数字どおりになるのか」と感じる方もいるでしょう。
そこで、ここからは筆者が実際に運営しているレンタルスタジオを例に、黒字化に必要な予約時間を計算します。その後、実際の売上・予約時間と照らし合わせ、シミュレーションと現実にどの程度の差があったのかを確認します。
月間の基本的な運営コスト
今回のシミュレーションでは、ポータルサイト手数料を除く月間コストを17万円とします。
| 費用 | 月額 |
|---|---|
| 家賃 | 150,000円 |
| 水道光熱費 | 12,000円 |
| Wi-Fi費用 | 5,000円 |
| 消耗品費 | 1,000円 |
| オーナー清掃時の交通費 | 2,000円 |
| 合計 | 170,000円 |
消耗品費や交通費は厳密には利用状況によって変動しますが、ここでは計算を分かりやすくするため、月間の基本的な運営コストに含めています。
このほか、設備の修理・交換、税金、減価償却費などが発生する場合があります。今回のシミュレーションには含めていないため、実際の事業計画では別途見込んでおく必要があります。
利用料金と計算上の平均単価
| 料金区分 | 利用料金 |
|---|---|
| 平日 | 2,000円/時間 |
| 土日 | 2,500円/時間 |
| 深夜・早朝 | 700円/時間 |
| 計算上の平均単価 | 2,200円/時間 |
実際の平均単価は、平日・土日・深夜の利用割合や割引によって変わります。今回はシミュレーションを分かりやすくするため、平均単価を2,200円とします。
営業時間
このスタジオは24時間営業です。
24時間 × 30日 = 月間最大720時間
ただし、深夜・早朝の需要は少ないため、720時間すべてに同じ確率で予約が入るわけではありません。以下の稼働率は、あくまで24時間営業を分母にした数値です。
ポータルサイト経由の割合別シミュレーション
黒字化に必要な予約時間を、次の条件で計算します。
- 月間の基本的な運営コスト:170,000円
- 平均単価:2,200円/時間
- 月間最大稼働時間:720時間
- ポータルサイト手数料:売上の35%
- 自社予約の決済手数料:簡略化のため除外
ポータル経由の売上割合が増えるほど、1時間の予約から実際に残る金額が少なくなり、黒字化に必要な予約時間は増えます。
ポータル経由30%の場合の計算例
ポータルサイトの手数料が35%でも、すべての売上から35%が引かれるわけではありません。ポータルサイト経由の売上にだけ手数料がかかります。
たとえば、月の売上が10万円で、そのうち30%がポータルサイト経由だった場合、ポータル経由の売上は3万円です。
100,000円 × 30% = 30,000円
この3万円に対して、35%のポータルサイト手数料がかかります。
30,000円 × 35% = 10,500円
売上全体は10万円、そこから差し引かれる手数料は10,500円です。したがって、売上全体に対する実質的な手数料率は10.5%になります。
10,500円 ÷ 100,000円 = 10.5%
ポータルサイトの手数料率自体は35%ですが、ポータル経由の売上割合が30%なら、売上全体から実際に差し引かれる割合は10.5%です。
次に、この実質手数料率を平均単価2,200円に当てはめます。
1時間あたりの平均売上2,200円から実質手数料10.5%を差し引くと、1時間の予約から残る金額は1,969円です。
2,200円 ×(1 − 0.105)= 1,969円
月間の運営コスト17万円を回収するには、この1時間あたり1,969円が何時間分必要になるかを計算します。
170,000円 ÷ 1,969円 = 約86.3時間
したがって、平均単価2,200円、ポータルサイト手数料35%、ポータル経由の売上割合30%という条件では、黒字化に必要な予約時間は月約86時間です。
ポータル経由割合ごとの損益分岐点
| ポータル経由の売上割合 | 実質手数料率 | 1時間あたりの手数料差引後売上 | 黒字化に必要な予約時間 | 24時間営業基準の稼働率 | 1日平均予約時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0% | 0% | 2,200円 | 約77.3時間 | 約10.7% | 約2.6時間 |
| 30% | 10.5% | 1,969円 | 約86.3時間 | 約12.0% | 約2.9時間 |
| 50% | 17.5% | 1,815円 | 約93.7時間 | 約13.0% | 約3.1時間 |
| 100% | 35% | 1,430円 | 約118.9時間 | 約16.5% | 約4.0時間 |
すべて自社予約なら、月約77時間の予約で17万円の運営コストを回収できます。一方、すべての予約が手数料35%のポータルサイト経由の場合、必要な予約時間は月約119時間です。
その差は月約42時間です。同じ平均単価・同じ家賃でも、予約経路が違うだけで黒字化に必要な予約時間は大きく変わります。
ただし、ポータルサイトには集客力があります。自社サイトだけでは獲得できなかった予約が入るのであれば、手数料を支払っても売上と利益の増加につながります。
重要なのは、ポータルサイトを使うか使わないかの二択ではありません。
- ポータルサイトで新規利用者を獲得する
- 自社ホームページからの予約も増やす
- 定期利用者やリピーターを育てる
- 予約経路ごとの売上と利益を確認する
複数の集客経路を組み合わせ、全体として利益が残る状態を作ることが重要です。
実際の運営結果|2025年8月
シミュレーション上の黒字化ラインが分かっても、実際にそれだけの予約を獲得できなければ利益は出ません。
では、このスタジオは現実にどの程度稼働し、いくらの利益が残ったのでしょうか。筆者が運営するレンタルスタジオにおける、2025年8月の実績は次のとおりです。
売上と手数料
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 自社予約の売上 | 175,000円 |
| ポータルサイト上の売上 | 200,000円 |
| 売上総額 | 375,000円 |
| ポータルサイト手数料 | −70,000円 |
| 手数料差引後の売上 | 305,000円 |
ポータルサイト上では20万円の売上がありましたが、手数料7万円を差し引くと、実際に残るのは13万円です。自社予約の17万5,000円と合わせると、手数料差引後の売上は30万5,000円となりました。
予約時間と概算営業利益
| 項目 | 実績 |
|---|---|
| 月間予約時間 | 約170時間 |
| 24時間営業基準の稼働率 | 約23.6% |
| 売上に占めるポータル比率 | 約53.3% |
| 月間の基本的な運営コスト | 170,000円 |
手数料差引後の売上30万5,000円から、月間の基本的な運営コスト17万円を差し引くと、概算営業利益は13万5,000円です。
305,000円 − 170,000円 = 135,000円
なお、本記事の利用料金・売上・運営コストは、すべて税込金額で計算しています。
この概算利益には、設備の減価償却費、突発的な修繕費などは含んでいません。また、オーナー自身が行う清掃や顧客対応などの労働時間にも、人件費を計上していません。
そのため、13万5,000円のすべてを、そのまま手元に残る利益や完全な不労所得と考えることはできませんが、実際の運営でどの程度の売上と利益が残るかを把握する目安にはなります。
なお、この月の売上総額375,000円を予約時間170時間で割ると、実績平均単価は約2,206円となり、シミュレーションで設定した2,200円とほぼ一致します。
稼働率だけを上げても利益が増えるとは限らない
予約時間を増やすことは重要ですが、稼働率だけを追いかけると、売上は増えても利益が残らないことがあります。
大幅な値下げによって予約を増やした場合、次のような問題が起こる可能性があります。
- 予約時間は増えたが、平均単価が下がる
- 利用回数が増え、清掃負担や設備の消耗が増える
- 問い合わせやトラブル対応が増える
- 需要の高い時間帯まで安く販売してしまう
- 利益の少ない予約で枠が埋まり、高単価の予約を受けられなくなる
見るべきなのは、稼働率の高さだけではなく、最終的にいくら利益が残ったかです。
時間帯別料金を設定する場合は、需要の少ない時間帯に限定して割引し、夜間や土日など需要の高い時間帯は適正な料金を維持する方法があります。
レンタルスペースが儲かるか判断する4つの手順
物件を契約してから「想像より予約が入らなかった」と気付いても、家賃や初期費用は簡単には取り戻せません。
初期費用の回収期間や利益率の考え方は「レンタルスペースは投資じゃなく経営!利益率と回収期間で考える成功のポイント」で詳しく解説しています。

開業前に収益性を検討する場合は、次の順番で計算すると判断しやすくなります。
1.現実的な平均単価を決める
周辺の競合スペースを調べ、実際に設定できそうな料金を確認します。
通常料金だけでなく、オープン割引、平日割引、ポータルサイト上のキャンペーンなども考慮し、現実的な平均単価を設定しましょう。
競合の掲載料金だけでなく、予約カレンダーの埋まり方も確認すると、価格と需要の関係を判断しやすくなります。
初心者がよく陥りがちですが、「料金を下げれば集客できる」と安易に考えるのは非常に危険です。
その地域や用途に十分な需要がなければ、いくら料金を下げても予約は増えません。仮に予約が増えても、低価格の利用で枠が埋まり、清掃や問い合わせ対応の負担ばかりが増えて、利益がほとんど残らない可能性があります。
さらに、近隣の競合スペースとの価格競争を招き、地域全体の値崩れにつながるリスクもあります。
一度安い料金で利用者を集めると、後から値上げした際に離脱が起こりやすくなる点にも注意が必要です。
まずは周辺の需要と競合を調査し、その料金で黒字化に必要な予約時間を現実的に獲得できるか確認したうえで、料金を決めましょう。

2.毎月発生するコストを洗い出す
家賃だけでなく、次の費用も含めます。
- 共益費
- 水道光熱費
- インターネット回線費
- 保険料
- 清掃費
- 消耗品費
- 予約システム利用料
- ポータルサイト手数料
- 決済手数料
- 修繕・設備更新の積立額
利益計算とは別に、借入金返済を含めた資金繰りも確認します。
3.黒字化に必要な予約時間を計算する
平均単価から予約経路ごとの手数料を差し引き、1時間の予約で実際にいくら残るかを計算します。その金額で月間コストを割れば、黒字化に必要な予約時間の目安が分かります。
黒字化に必要な予約時間 = 月間コスト ÷ 1時間あたりの手数料差引後売上
自社予約とポータル予約で手数料率が異なる場合は、想定する売上割合を反映します。
4.必要な予約時間を獲得できるか調べる
計算上黒字になるだけでは不十分です。そのエリアに需要がなければ、必要な予約時間を確保できません。
開業前には、次の項目を調査します。
- 周辺人口や駅の乗降客数
- 地域名と用途を組み合わせた検索需要
- ポータルサイト上の競合数
- 競合の料金・広さ・設備・レビュー数
- 競合の予約カレンダーと空き状況
- 駅からの距離と周辺の導線
- 想定利用者が活動する曜日・時間帯
損益分岐点が月100時間なら、「稼働率約14%だから簡単」と考えるのではなく、その地域・用途で毎日平均3.3時間の予約を継続的に獲得できるかを検証する必要があります。
よくある質問
レンタルスペースは月に何時間予約が入れば黒字になりますか?
黒字化に必要な予約時間は、家賃、平均単価、手数料率によって異なります。
この記事の実例では、月間コスト17万円、平均単価2,200円の場合、すべて自社予約なら約77時間、ポータル経由50%なら約94時間、すべてポータル経由なら約119時間が損益分岐点です。
なお、この実例のレンタルスペースは、2024年6月にオープンし、2カ月目以降は全て黒字です。
レンタルスペースの稼働率は何%あれば黒字になりますか?
必要な稼働率は、営業時間と費用構造によって異なります。
この記事の実例では24時間営業を基準に約10.7~16.5%ですが、営業時間を長く設定するほど稼働率は低く表示されます。稼働率だけでなく、月間予約時間と1時間あたりに残る金額で判断してください。
ポータルサイトは使わない方が儲かりますか?
同じ売上なら、手数料の低い自社予約の方が利益は残ります。ただし、ポータルサイトは集客手段としては非常に優秀であり、自社だけでは得られない予約を獲得できるなら、手数料を支払っても利益が増える可能性があります。
経路ごとの売上ではなく、手数料差引後の利益で比較することが重要です。
レンタルスペースは不労所得になりますか?
完全な不労所得とは限りません。無人運営でも、清掃、問い合わせ、トラブル対応、価格調整、設備の修理などが発生します。
利益を判断する際は、オーナー自身の作業時間も記録し、必要に応じて人件費として考慮しましょう。
まとめ|「儲かるか」ではなく「何時間で黒字になるか」を計算する
レンタルスペースの利益は、平均単価、予約時間、固定費、変動費の組み合わせで決まります。
利益を増やす基本的な方法は次の3つです。
- 平均単価を上げる
- 予約時間を増やす
- 固定費・変動費を抑える
ただし、値上げによって予約が減ることもあれば、値下げによって稼働率は上がっても利益率が下がることもあります。そのため、どれか一つの数字だけではなく、売上、予約時間、平均単価、手数料、運営コストをまとめて確認する必要があります。
今回紹介したレンタルスタジオでは、月間の基本的な運営コスト17万円、平均単価2,200円という条件で、ポータルサイト経由の売上割合が50%なら、黒字化には月約94時間の予約が必要という結果になりました。
実際の2025年8月は約170時間の予約が入り、売上総額は37万5,000円、ポータルサイト手数料差引後の売上は30万5,000円、月間コストを差し引いた概算営業利益は13万5,000円でした。
ただし、この数字はすべてのレンタルスペースに当てはまるものではありません。家賃、料金、需要、営業時間、ポータルサイトへの依存度によって、損益分岐点は大きく変わります。
開業を判断する前に、まず自分の条件を数字に置き換え、月に何時間の予約が入れば黒字になるのか、その予約時間を現実的に獲得できるのかを確認しましょう。
この計算を開業前に行うだけでも、家賃や立地、料金設定を感覚だけで決めてしまうリスクを大きく減らせます。



