レンタルスペースは、自宅の空き部屋や自己所有物件を活用する方法だけでなく、事業用の物件を借りて開業することもできます。飲食店のように厨房設備が必須ではないため、用途と物件を選べば、個人が1室から始めることも可能です。
ただし、始めやすいことと、簡単に利益が出ることは別です。需要を調べずに物件を契約したり、開業費だけで資金を使い切ったりすると、予約が安定する前に家賃の支払いが苦しくなります。
レンタルスペース開業で最も大切なのは、物件を探す前に「誰が・何のために・この地域で借りるのか」を決め、需要と採算を確かめることです。その後に、用途を認めてもらえる物件を探し、設備・予約・清掃・集客の仕組みを整えます。
この記事では、横浜市内で2店舗のレンタルスペースを運営する筆者の経験も踏まえ、開業に必要な資金の考え方と、準備の順番を8つのステップで解説します。まだ業態を決めていない方は、「レンタルスペースの種類は?用途別のメリット・デメリットを運営者目線で比較」もあわせてご覧ください。
レンタルスペースを開業する前に知っておきたいこと
レンタルスペースの開業準備は、物件探しから始めるものと思われがちです。しかし、先に物件を決めると、その場所と間取りでできる事業を後から考えることになります。
利用者が少ない地域なら、内装を整えて予約ポータルサイトへ掲載しても、十分な予約は入りません。需要があっても、家賃に対して売上の上限が低ければ利益は残りません。さらに、貸主が第三者への時間貸しを認めていなければ、そもそも営業できません。
そのため、次の順番で検討します。
- 利用者と用途を決める
- 地域の需要と競合を調べる
- 売上・経費・損益分岐点を試算する
- 条件を満たす物件を探す
- 内装と設備を整える
- 予約から清掃までの運営方法を決める
- 掲載・集客を始めて開業する
物件契約は4番目です。条件のよい物件を見つけても、需要・採算・利用許可を確認できるまでは契約を急がないことが、開業後の失敗を減らします。
レンタルスペースの開業に必要な資金
レンタルスペースの開業に必要な資金は、自己所有の物件を使うか、新たに物件を借りるか、どのようなスペースを作るかによって大きく変わります。
「レンタルスペースは○万円で開業できる」と一律に考えるのではなく、物件の契約、スペースの整備、開業後の運営にいくら必要なのかを分けて考えることが大切です。
開業に必要な資金は3つに分けて考える
レンタルスペースの開業に必要な資金は、大きく次の3つに分けられます。
| 区分 | 主な内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 物件契約費 | 敷金・保証金、礼金、仲介手数料、保証会社の費用、前家賃、保険料など | 契約時に支払う総額と、退去時に返還される可能性がある金額 |
| スペース整備・開業準備費 | 内装、施工、家具、設備、備品、スマートロック、写真撮影、案内表示など | 開業前に必要なものと、開業後に追加できるもの |
| 運転資金 | 家賃、共益費、水道光熱費、通信費、システム利用料、清掃費など | 予約が少ない状態でも何か月運営を続けられるか |
開業に必要な資金=物件契約費+スペース整備・開業準備費+運転資金
一般的に「初期費用」と呼ばれるのは、物件契約費とスペース整備・開業準備費です。
しかし、実際に開業するには、その後の家賃や水道光熱費などを支払うための運転資金も必要です。
賃貸物件で始める場合の初期費用例
ここでは、家賃15万円の物件を借り、既存の内装を活用して小規模なレンタルスペースを開業する場合の初期費用を試算します。
| 項目 | 試算額 | 前提 |
|---|---|---|
| 敷金・保証金 | 30万円 | 家賃2か月分と仮定 |
| 礼金 | 15万円 | 家賃1か月分と仮定 |
| 仲介手数料 | 16万5,000円 | 借主が全額負担する場合の上限例 |
| 保証会社の初回費用 | 15万円 | 家賃1か月分と仮定 |
| 前家賃 | 15万円 | 家賃1か月分と仮定 |
| 保険料 | 5,000円 | 補償内容や契約期間によって変動 |
| スペース整備・開業準備費 | 75万円 | 既存の内装を活用し、大規模な工事を行わない例 |
| 合計 | 約167万円 | 運転資金を含まない |
スペース整備・開業準備費には、内装、設備、備品、スマートロック、写真撮影、案内表示などの費用を含めています。
この例では、物件の契約に必要な資金が約92万円、スペースの整備と開業準備に75万円かかり、合計は約167万円です。
敷金・保証金は、退去時の原状回復費などを差し引いて返還される場合があります。また、前家賃は開業後に発生する家賃を先に支払うものです。そのため、表の167万円がすべて開業時に消費されるわけではありません。
実際の金額は、物件の契約条件や状態によって大きく変わります。敷金・保証金が6か月以上必要な物件もあれば、礼金がかからない物件もあります。
机や椅子を中心とした貸し会議室なら、既存の内装を活用して費用を抑えられる場合があります。一方、床の施工や防音・防振工事まで必要になる物件では、初期費用が数百万円になることもあります。
約167万円という金額は、レンタルスペース全体の相場ではありません。必要な資金の組み立て方を示すための一例です。
物件を契約する前に、不動産会社から初期費用の明細を取り寄せてください。内装や設備についても現地で必要な作業を確認し、できるだけ契約前に見積もりを取っておきましょう。
毎月かかる費用と運転資金も確認する
初期費用を用意できても、開業後の支払いを続けられなければ運営は継続できません。物件を契約する前に、毎月どのような費用が発生するのかも試算しておきます。
| 費用の種類 | 主な内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 固定費 | 家賃・共益費、インターネット回線、予約システムの月額料金など | 予約が入らない月でも発生する |
| 売上や予約に応じて増える費用 | ポータルサイトの成約手数料、決済手数料、利用ごとの清掃費、消耗品費など | 売上や利用件数が増えると負担も増える |
| 月によって変動する費用 | 水道光熱費、広告費、修繕費、備品の交換費など | 季節や運営状況によって金額が変わる |
運転資金は、開業後に予約が少ない状態が続いても、これらの費用を支払うためのお金です。
必要な運転資金=毎月の支出額×赤字に耐える期間
たとえば、毎月の支出が20万円で、開業後6か月分の余裕を持つなら、必要な運転資金は120万円です。
20万円×6か月=120万円
先ほどの初期費用167万円に運転資金120万円を加えると、開業時に用意しておきたい資金は合計287万円になります。
開業費用だけで資金を使い切らず、予約が安定するまで運営を続けられるだけの現金を残しておくことが重要です。
売上、利益、損益分岐点の計算方法は、「レンタルスペースは儲かる?収益モデルと黒字化に必要な稼働率を実例で解説」で詳しく解説しています。

レンタルスペースの開業方法を8ステップで解説
レンタルスペースを開業するには、物件を借りて設備をそろえるだけでなく、需要調査、収支計算、予約方法の準備などが必要です。
特に注意したいのが、最初に物件を契約しないことです。開業するスペースの種類が決まっていなければ、必要な広さや設備、調べるべき需要も分かりません。また、収支を計算する前に契約すると、家賃や工事費が想定以上にかかり、利益を出せない可能性があります。
スペースの種類を決める→需要と相場を調べる→候補物件を探す→実際の金額で収支を計算する→問題がなければ契約するという順番で進めます。
レンタルスペースを開業するまでの流れは、次の8ステップです。
- 自分に合うレンタルスペースの種類を決める
- 需要・競合・候補エリアの家賃相場を調べる
- 条件に合う候補物件を探す
- 候補物件の家賃と初期費用で収支を試算する
- 利用許可と契約条件を確認して契約する
- 内装工事を行い、設備・備品をそろえる
- 料金・利用ルール・予約方法を決める
- 写真撮影・掲載・動作確認を行って開業する
ステップ1:自分に合うレンタルスペースの種類を決める
最初に、自分の経験、予算、使える時間などを踏まえて、どの種類のレンタルスペースなら無理なく運営できるかを考えます。
貸し会議室、レンタルスタジオ、撮影スタジオ、レンタルサロン、パーティースペースでは、必要な初期費用だけでなく、開業後に行う清掃や設備管理、問い合わせ対応も異なります。
人気がありそうという理由だけで種類を決めても、必要な作業が自分の生活に合わなければ、運営を続けるのが難しくなります。
「何が儲かりそうか」を考える前に、「自分がどのようなスペースなら運営を続けられるか」を整理しましょう。
スペースの種類を選ぶときは、次の条件を確認します。
- これまでの仕事や趣味の経験を生かせるか
- 開業に使える資金はどのくらいあるか
- 運営作業に週何時間使えるか
- 清掃や備品補充のために現地へ行けるか
- 設備故障や利用者トラブルが起きたときに対応できるか
- 有人と無人のどちらで運営したいか
- 自宅や職場から無理なく管理できる距離か
たとえば、本業があり現地へ行ける時間が限られているなら、利用ごとに細かな清掃や大量のごみ処理が必要なスペースは、運営の負担になります。現地対応に使える時間を踏まえ、無理なく清掃や備品補充ができる種類を選びましょう。また、自分が経験や知識を持つ分野なら、利用者が必要とする設備や案内を考えやすく、問い合わせにも対応しやすくなります。
スペースの種類によって、運営前に確認したい点は次のように異なります。
| スペースの種類 | 運営前に確認したいこと |
|---|---|
| 貸し会議室 | 机や椅子、Wi-Fi、モニターなどの管理と、利用後のレイアウト確認 |
| レンタルスタジオ | 大型鏡、床、音響設備の準備と、音や振動への対策 |
| レンタルサロン | 施術設備、換気、衛生管理、リネンや水回りの扱い |
| パーティースペース | 清掃、ごみ、食器や備品の管理、騒音や利用ルールへの対応 |
| 撮影スタジオ | 撮影設備、背景、照明、内装の維持と利用者への設備案内 |
自分の生活や経験に合いそうな種類を絞ったら、次に利用者と利用目的を考えます。
- 誰が利用するスペースなのか
- どのような目的で利用するのか
- 何人程度で利用するのか
- 利用に欠かせない設備は何か
- 競合と比べてどのような特徴を持たせるのか
自分が運営を続けられる種類 × 地域の需要 × 採算性
この3つがそろって、初めて開業するスペースの種類を決められます。ステップ1では自分に合う候補を絞り、次のステップで、その種類のスペースに需要がある地域を調べます。
この段階で種類を完全に決定する必要はありません。需要や家賃を調べた結果、事業として成立しにくいことが分かった場合は、スペースの種類や運営方法を見直します。
ステップ2:需要・競合・候補エリアの家賃相場を調べる
開業したいスペースの種類が決まったら、その用途に対する需要がある地域を探します。
レンタルスペースは、内装や設備を整えれば自然に予約が入るわけではありません。利用したい人が少ない地域では、料金を下げたり広告を出したりしても、安定した予約を獲得するのは難しくなります。
候補エリアを選ぶときは、次の内容を確認します。
- Google検索やGoogleマップで、その用途のスペースが探されているか
- 予約ポータルサイトに競合が何件掲載されているか
- 競合の料金、広さ、設備、レビュー、予約状況
- 駅からの距離や周辺施設など、利用者が通いやすい条件
- 候補エリアにある物件の家賃と共益費
需要が多い地域でも、競合が多すぎたり家賃が高すぎたりすれば、利益を出せるとは限りません。反対に、家賃が安くても利用者がほとんどいない地域では、予約数を増やすことが難しくなります。
この段階では、候補エリアの需要、競合、家賃相場を比較し、現実的に事業を検討できる地域を絞ります。
また、そのエリアが自宅や職場から無理なく通える距離にあるかも重要です。清掃を外注すれば、普段は現地へ行かずに運営することも可能です。しかし、設備の不具合や備品の補充、忘れ物など、急な現地対応が必要になる場面はあります。遠方では対応が難しくなるため、初めて開業する場合は、無理なく通える範囲で物件を探すことをおすすめします。

ステップ3:条件に合う候補物件を探す
候補エリアを絞ったら、開業したいスペースの条件に合う物件を探します。
物件情報に記載された家賃や広さだけでは、レンタルスペースに適しているか判断できません。内見や不動産会社への確認を通じて、実際の利用に問題がないか調べます。
- 家賃、共益費、敷金・保証金、礼金などの契約条件
- 広さ、間取り、天井高、柱の位置
- 駅からの距離と建物までの分かりやすさ
- 営業時間や土日・夜間の利用制限
- 音や振動が近隣へ伝わる可能性
- 電気容量、空調、換気、水回りなどの設備
- 必要な内装工事や設備の設置ができるか
不動産会社には、レンタルスペースとして第三者へ時間貸しする予定であることを最初から伝えます。そのうえで、貸主や管理会社へ具体的な利用条件を確認できる物件を候補として残します。
事務所や店舗として利用できる物件でも、レンタルスペースとして不特定多数の利用者へ貸し出せるとは限りません。利用目的を隠したまま物件探しを進めないでください。
ステップ4:候補物件の家賃と初期費用で収支を試算する
候補物件の家賃や契約条件が分かったら、実際の数字を使って収支を計算します。
家賃が分からない状態では、正確な利益や開業資金は計算できません。候補物件ごとに売上、毎月の経費、初期費用を試算し、事業として成立するか判断します。
収支を試算するときは、次の項目を確認します。
- 周辺の競合を参考に設定した利用料金
- 現実的に獲得できる月間予約時間
- 家賃、共益費、水道光熱費などの固定費
- ポータルサイトや決済サービスの手数料
- 敷金・礼金・仲介手数料などの物件契約費
- 内装工事、設備、備品などの開業準備費
- 損益分岐点、初期費用の回収期間、必要な運転資金
収支が合わない場合は、料金や予約数を都合よく引き上げるのではなく、別の物件を探すか、候補エリアやコンセプトを見直します。
物件は「借りられるか」ではなく、「その家賃と初期費用でも利益を出せるか」で判断します。
売上や利益の計算方法は、「レンタルスペースは儲かる?収益モデルと黒字化に必要な稼働率を実例で解説」で詳しく解説しています。

ステップ5:利用許可と契約条件を確認して契約する
候補物件で利益を出せる見込みが立ったら、レンタルスペースとして利用できることと、契約後の運営に問題がないことを正式に確認します。
貸主や管理会社へは、単に「店舗として使いたい」と伝えるのではなく、想定している利用方法を具体的に説明します。
- どのような用途のスペースを運営するのか
- 営業時間と想定する利用人数
- 無人で運営する時間があるか
- 音や振動が発生する可能性があるか
- スマートロック、看板、防犯カメラなどを設置するか
- 内装工事や設備の取り付けを行うか
あわせて、営業時間、共用部分の使い方、ごみ出し、看板の設置、原状回復、解約予告期間などの契約条件も確認します。業態や工事内容によって必要な届出や確認がないかも、契約前に調べておきましょう。
口頭で「問題ない」と言われただけで契約を進めず、レンタルスペースとしての利用条件が後から確認できるよう、契約書や書面に残してください。
利用許可、契約条件、収支のすべてに問題がないことを確認してから、賃貸借契約を結びます。
ステップ6:内装工事を行い、設備・備品をそろえる
物件を契約したら、想定する利用目的に合わせて内装や設備を整えます。
必要なものはスペースの種類によって異なります。貸し会議室なら机、椅子、モニターなど、レンタルスタジオなら大型鏡、音響設備、利用目的に合った床などが必要です。レンタルサロンでは、施術ベッド、鏡、ワゴン、手洗いや換気のしやすさなどを確認します。
業態ごとの設備に加えて、次のような準備も行います。
- 照明、空調、換気設備
- Wi-Fiと電源
- スマートロックなどの入退室設備
- 防犯カメラや緊急時の連絡手段
- 清掃用品、消耗品、案内表示
初期費用を抑えるには、既存の内装や設備をできるだけ活用します。開業前に必要なものと、利用者の反応を見ながら後から追加できるものを分け、最初から設備を増やしすぎないことも大切です。
ステップ7:料金・利用ルール・予約方法を決める
スペースの準備と並行して、利用者が予約してから退出するまでの流れを整えます。
- 利用料金、最低利用時間、営業時間
- キャンセルポリシーと利用規約
- 予約受付と支払いの方法
- 予約者へ送る入室方法と利用案内
- 利用後の清掃と原状回復のルール
- 問い合わせ、忘れ物、設備故障などへの対応方法
無人運営にする場合も、予約受付、決済、入室案内、清掃、問い合わせ対応がなくなるわけではありません。利用者がスタッフと直接会わなくても、迷わず利用できる仕組みを作る必要があります。
料金は競合より安いかどうかだけで決めず、家賃や手数料を差し引いて利益が残る金額に設定します。
ステップ8:写真撮影・掲載・動作確認を行って開業する
スペースと運営方法が整ったら、掲載用の写真を撮影し、予約を受け付けられる状態にします。
利用者は、写真、料金、広さ、設備、立地、レビューなどを見てスペースを比較します。室内全体の雰囲気だけでなく、設備や利用できる範囲が具体的に分かる写真を用意してください。
- 予約ポータルサイトや自社サイトへ写真と利用案内を掲載する
- 料金、設備、定員、禁止事項を正確に記載する
- 実際に予約と決済を行う
- 予約後のメールやメッセージが届くか確認する
- 建物までの道順、入室、利用、退出までを利用者目線で試す
- 清掃や忘れ物、設備故障が発生した場合の対応を確認する
動作確認で見つかった問題を修正したら、予約受付を開始します。開業後は、予約状況、問い合わせ、レビューを確認し、写真、料金、設備、利用案内を改善していきます。
レンタルスペースの開業で特に重要なのは、物件を契約する前の準備です。開業する種類を決め、需要を調べ、候補物件の実際の家賃と初期費用で収支を確認してから契約しましょう。

開業前に確認したいチェックリスト
契約やオープンを急ぐと、後から変更しにくい部分を見落とします。少なくとも次の項目を確認してください。
- 検索需要、競合の予約状況、料金、レビューを確認した
- 慎重・標準・好調の3パターンで利益を試算した
- 初期費用とは別に運転資金を確保した
- 撤退基準、解約予告期間、原状回復費を把握した
- 貸主・管理会社からレンタルスペース利用の承諾を得た
- 消防・建築・用途固有の許認可を関係窓口へ確認した
- 主用途に必要な設備と安全対策を整えた
- 利用規約、キャンセル条件、清掃ルールを明記した
- 入室できない場合や設備故障時の連絡方法を決めた
- 清掃、消耗品補充、定期点検の担当と頻度を決めた
- 第三者に予約から退出まで試してもらった
レンタルスペース開業でよくある失敗
内見して気に入った物件を先に契約する
内装がきれい、駅から近い、家賃が予算内という理由だけでは、その物件で利益を出せるか分かりません。需要と競合を調べ、現実的な予約時間から家賃の上限を出した後に判断します。
貸主の承諾を曖昧にしたまま進める
一般の事務所や店舗と、第三者が入れ替わる時間貸し事業では、建物の使われ方が異なります。仲介担当者の口頭説明だけでなく、貸主・管理会社へ運営内容を伝え、契約書や承諾書で確認します。
開業費だけを用意し、運転資金を残さない
工事や設備へ予算を使い切ると、予約が安定する前に追加広告や設備改善ができなくなります。開業後の家賃と運営費を何か月負担できるかを先に決め、その範囲で初期費用を配分します。
見た目を優先し、利用者の必須条件を外す
写真映えする内装でも、ダンススタジオの鏡が小さい、会議室のWi-Fiが不安定、サロンの換気や手洗いが不便では継続利用につながりません。主用途で必ず使う機能から予算を配分します。
無人運営なら手がかからないと思う
予約や入室を自動化しても、清掃、設備点検、問い合わせ、近隣対応、掲載情報の更新は残ります。自分で行う業務、スタッフへ任せる業務、システムで省く業務を開業前に分けておきます。
ポータルサイトへ掲載すれば集客できると思う
同じ地域に競合があれば、写真、料金、設備、レビュー、利用条件を比較されます。掲載後も閲覧数、問い合わせ、予約率、レビュー内容を確認し、どこで選ばれていないかを改善する必要があります。
赤字の原因を切り分ける方法は、「レンタルスペースは儲からない?赤字になる7つの原因と失敗を避ける方法」をご覧ください。
レンタルスペース開業に関するよくある質問
レンタルスペースの開業に資格は必要ですか?
一般的な会議室やスタジオなどの空間を時間貸しすること自体について、一律の資格が必要というわけではありません。ただし、建物・用途・工事内容に応じた消防や建築上の対応、宿泊・飲食・施術など提供内容に応じた許認可が必要になる場合があります。所在地の関係窓口へ事前に確認してください。
自宅や自己所有物件でも開業できますか?
用途・地域・建物の規約などの条件を満たせば可能です。分譲マンションでは管理規約、戸建てや自己所有ビルでも用途地域、近隣への音や人の出入り、消防・建築上の確認が必要です。所有しているから自由に営業できるとは限りません。
賃貸マンションの一室でも始められますか?
貸主と管理規約がレンタルスペース運営を認め、予定用途に必要な条件を満たせば始められる場合があります。ただし、一般的な住居用契約のまま無断で運営するのは避けてください。第三者の出入り、営業時間、音、看板、鍵の変更まで具体的に説明して承諾を得ます。
開業までにどのくらいの期間がかかりますか?
物件探しと貸主の承諾、工事、消防・建築上の確認が必要かどうかで大きく変わるため、一律には決められません。物件がすぐ見つかり、大掛かりな工事がなければ比較的短く進みますが、用途に合う物件が少ない業態では物件探しだけで数か月以上かかることもあります。オープン日を先に固定しすぎない方が安全です。
副業でも開業できますか?
予約・決済・入退室をオンライン化し、清掃と緊急対応の体制を作れば、副業として運営できます。ただし、本業中に入室トラブルが起きる可能性もあります。会社の副業規程、使える時間、現地までの距離、代わりに対応できる人を確認してください。詳しくは「レンタルスペース運営は個人の副業に向いている?」で解説しています。

まとめ|物件契約より先に需要と採算を確かめる
レンタルスペースは、用途と物件を選べば、個人が1室から開業できるビジネスです。必要な資金は、物件を確保する費用、開業できる状態にする費用、開業後を支える運転資金の3つに分けると整理しやすくなります。
準備は、次の順番で進めます。
- 利用者と用途を決める
- 需要と競合を調べる
- 売上・利益・撤退基準を試算する
- 用途を認められる物件を探す
- 内装・設備・利用ルールを整える
- 予約・決済・入退室・清掃を仕組み化する
- 掲載・集客を始めて開業する
開業を急いで物件を先に決めると、後から需要や採算に合わせるのが難しくなります。まずは候補エリアと用途を一つ決め、検索需要、競合の予約状況、料金、家賃を調べるところから始めてください。


